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一時間の『津和野』への旅

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パレットさんのところで
ツワブキと津和野の記事を読んだら、なんとも心地よくなり
ふと津和野を旅したくなって
安野光雅氏の『津和野』の本を取りだしてきました。

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散歩のマレの旅の後は、本の旅で津和野を散歩します。^^

私自身は津和野へは行ったことがなく
安野さんの絵をゆっくりと見ながら
そして、優しい文をじっくりと読みながらページをめくります。

日本ではずっと押し入れに仕舞われていたこの本は、1980年発行。
少し焼けてしまった本の匂いで、気持ちは昔へ戻ります。

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安野さんの生まれ故郷の津和野は山に囲まれた町。
そして、土地の人が錦川と名付けた川が流れている。

「この町を流れる川は、柳をひたし、桜を浮かべ、あるときは水鳥とたわむれながら、
どこからともなく流れてきて、行方も知らず流れていった。」

思わず、頭の中で
普段見ているマレの川と錦川を比べてしまいます。

「錦川はちょうどSの字を裏から見た形に蛇行している。上(かみ)のカーブは稲荷山につき当り、
大きく曲がって町の中心を貫くと、こんどは青野山の麓をえぐって下(しも)のカーブを描いている。
町はこの川によって上下(かみしも)に二分される。」

よし!マレも上(うえ)のマレ、下(した)のマレではなくて
上(かみ)のマレ、下(しも)のマレと呼ぶことにしようなんて思うほどいい響きです。

そんな町を、安野さんは
「つくづくこの町が故郷という名に値すると思う。」と書いています。

絵を見て、文を読んでいるうちに自然と
「私も子どもの頃、自転車に乗ってかなり離れた竹林の傍の湧水まで
弟や友だちと一緒にサリガニ取りに行ったな」とか
「母に怒られて、家出と称して梅林の横の一本道を遠くまで歩いて
でも結局家に戻って、遠くまで行ったつもりだったけど
ちっとも遠くじゃなかったな」とか、そんなことを思い出しました。

そうしたら、「おわりに」の文の中に
「私は見知らぬ方々と子供の時代について語り合いたいと願って
この本を書いたといってもいい」と書いてあります。

ほんとだ!いつの間にか、安野さんとお互いの子どもの頃の話を
語り合っているのでした。

それが不思議なことに、イメージとしては囲炉裏の傍で語り合ってるのです。
きっと、それは自分の中の子ども時代が
昔話といえるくらい遠い昔のことになってきた象徴なのではないかな。
そんな風に思って、ほのぼのと笑ってしまったのでありました。

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安野さんは、はっきりと
「故郷とは子供の時代のことなのである。」と書いています。

確かに、私の故郷は東京の西の片隅の
「あの場所」ではなく「あの時代」なのです。

約1時間の『津和野』への旅は、そのまま『故郷』への旅になりました。
とてもいい時間でした。

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今、津和野の町はどんな色に輝いているでしょう。
ここでは、ポプラに続いて白樺も、朝の光りの中で黄金色に輝いています。

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空には、皮がパリパリッとしたバゲットのような雲。

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雨上がりの湿った苔の横には
姫りんごの赤い実と小さな葉が落ちています。


さて、
今日は11月11日。アルミスティスの日です。

第一次世界大戦が終結したのが1918年11月11日。
たった100年前のことです。

午前中、雨の降るパリの凱旋門の麓で行われた式典中
ラヴェルのボレロが演奏されていました。
それがとてもいい演奏でした。
例年は「そうか、アルミスティスの日か…」と思う程度でしたが
今年はもう少し深く考えています。
最近の日本や世界の情勢の行方が心配だからなのです。
そんな思いでボレロを聞いていたら、とても心に沁みてきました。
今日の生の演奏ではありませんが、静かにボレロを聴いてみてくださいね。





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「ますます眠くなってきました…」
U^I^U*

目を開けながら眠っているかっちゃんです。^^


さあ、次はどこへ旅しようかなと夢見ながら
自由部門に応募します。




Commented by pallet-sorairo at 2018-11-12 09:23
おはようございます。
リンクありがとうございました。
echalotelleさんの津和野への旅、ほっとするひと時でしたね。
お役に立てて?嬉しいです。
>上(かみ)のマレ、下(しも)のマレと呼ぶことにしようなんて思う
いい考え! そう呼ぶことになったら楽しいな♪

Commented by PochiPochi-2-s at 2018-11-12 17:27
こんにちは。久しぶりです。
毎回読ませてもらっているのですがコメントを残さずごめんなさい。

この安野光雅の『津和野』、私も持っています。
文章といい絵といい、ほわぁとしていてなんだか好きなんですよね♪
フランスやスイス、ドイツ、スペイン、オランダと持っていますが、
日本の景色の絵の描き方がまたいいですね。

>「故郷とは子供の時代のことなのである。」と書いています。
この言葉、私も自分のブログで取り上げたことがあるなぁ、
そして旅立ちの時期って故郷(=子供時代)との決別の時だ、
と思ったのです。

久しぶりにこの画文集を見たくなりました。
夜にでも見ることにします♪
ありがとう。
Commented by echalotelles at 2018-11-12 18:01
# パレットさん、こんにちは♪

ツワブキの刺繍と写真がとても心に残ったので、リンクしましたよ~(*‘∀‘)
安野さんの本を読んでから、パレットさんの津和野の旅の写真も見に行きました。
すっかり自分も津和野を旅した気分になっています♪
カミのマレ、シモのマレ!そう呼ぶことにしますね。(^_-)-☆
Commented by echalotelles at 2018-11-12 18:13
# Pochipochiさん、こんにちは♪

そうでしたね、Pochipochiさんもこの本をお持ちでしたね。(*‘∀‘)
以前、ブログで書いてらしたのを覚えています。
絵も文も穏やかでいいですよね。
私は故郷、子ども時代との決別なるものを感じたことはないのですが
うふふ、それは私が今だに"子ども"のままだからだなw
ぜひ、またじっくりこの本を開いてみてくださいね♪
Commented by snoo at 2018-11-12 20:49 x
かっちゃん、物思いにふけってるのかと思いました(^^)
目を開けて夢を見てる???

ニュースでみたのですが、
第一次世界大戦終結の式典中のボレロの演奏はよかったですね。
ラヴェルは従軍してたんですね、この曲好きで時々聞いてます♪
ちらっと映ったチェロの奏者はヨーヨーマかしら?
こちらのバッハも厳かで素敵でしたね、一瞬見ただけですが(笑)
Commented by echalotelles at 2018-11-13 00:26
# snooさん、こんにちは♪

かっちゃん、物思いにふけろうとしたら、眠気に襲われたようですよ~(*´▽`*)
目を開けて眠るのは、かっちゃんの得意技です!

あのボレロの演奏よかったですよね。
テレビから遠く離れたところで、聞いていたのですが、とてもよくて
どんなに素晴らしいオーケストラが演奏しているのだろうと思ったら
EUの若者のオーケストラでしたね。
とてもいい選曲だったという感想も多くあったようです。
ヨーヨーマ、映ってましたか??
バッハの無伴奏第5番のサラバンドの演奏でしたね。(^_-)-☆
Commented by snowdrop-momo at 2018-11-13 06:22
アルミスティスの日というのですね。
ラヴェルのボレロ、日本で放映されたフランス2で一節を聴きました。
左手のための協奏曲は、たしか第一次大戦で右手を失ったピアニストのために作曲されたんですよね。そのこともあってラヴェルが演奏されたのでしょうか?
それまで体験したこともない規模の大戦に参加した人々はどんなに恐ろしかったことでしょう。
ヨーヨー・マもちらっと映りました。
この集いが未来の平和につながりますように。

Commented by maribabalondon at 2018-11-13 06:26
津和野の本、私も欲しいです。絵がすばらしいですね。
故郷、確かに、「あの場所」ではなく「あの時代」ですね。

palletさんのブログ見ましたよ、つわぶきの刺繍、いいですね~。

第一次世界大戦のことをTVで盛んにやっています。
今年は特に考えさせられることが、多いです・・・。

かっちゃん、まどろんでいますね。
いつもと違う可愛さです。チュ!!




Commented by echalotelles at 2018-11-13 19:37
# snowdropさん、こんにちは♪

そうです、armistice。英語でも11月11日を Armistice Dayと呼ぶようですね。
具体的に、なぜラヴェルのボレロが選曲されたのかはわかりませんが
ラヴェルが第一次世界大戦中、ヴェルダンの戦いの舞台となったロレーヌ地方の
ヴェルダンの傍で従軍していたという内容の記事などがあるので
そういった諸々の大戦との関わりが理由になってるのだと思います。
どの戦争でも、参加した人、戦地の人、被害に合った市民・・・みんな怖かったでしょうね。父母やシベリアで捕虜になっていた伯父の話を聞いただけでも怖くなります。
この集いが具体的に平和への道になるかは不明ですが
少なくとも、こうやって各国首脳が集まって顔を合わせて話をするというのは
対話ができる可能性を示していますよね。
安倍さんはいなかったけど…
Commented by echalotelles at 2018-11-13 19:41
# maribabaさん、こんにちは♪

ぜひ、次回日本へいらしたときにでも、本屋さんで見てみてくださいね。(*‘∀‘)
ほっとする絵と文ですよ。
そうなんです。「あの時代」ですね。
だから、私の故郷はしっかり心の中にあって、あの町の様子が変わっても
遠く離れていても、ちっとも淋しくないのだ~♪

パレットさんのツワブキの刺繍、素敵ですよね。
花がきらきら輝いていますね。
今年は、第一次世界大戦終結から100年なので、例年より力が入っているようですね。
かっちゃん、うつらうつらの顏ですね。(*´▽`*)
Commented by snowdrop-momo at 2018-11-14 06:45
そうですね。
祖父は戦争のことを、孫の私にもほとんど語りませんでした。
婚約中だった祖母への戦地からの手紙は
飛行機から見た朝鮮半島の桜の美しさや、送ってもらった物品へのお礼くらいでした。

イギリスでも同様の催しがあって、同日にBBCで放映されていましたが
これはこれで今のイギリスと欧州の在り方を象徴しているようで…
米大統領も参加したというより違う立場を誇示したかのようで。
世界が100年前の歴史に学べますように。

ps.上下(うえした)を「かみ」「しも」と呼び変えるだけで
趣きがいっそう深まりますね。
モミジバフウの実などが、時空をつないでくれるかのようです。
私もこの本をひらいたら、マレの風が聞こえるかもしれません。^^
Commented by echalotelles at 2018-11-14 08:18
# snowdropさん、こんにちは♪

実際に戦争を経験した人は、多くを語りませんよね。
伯父も直接話をしてくれたわけではなく、書き残したものを私が読んで
「話してくれた」と私が思っているのでありました。
今読んでいる本に、ちょうど第1次世界大戦から第2次世界大戦への社会背景が書かれているのですが、1935年にヒトラーのラインラント再軍備を阻止しようとしたフランス軍に対して、イギリスが支援を断ったという話が出てきます。
なんだか、その頃と今の世界状況が似ている気がしてなりませぬ。

「かみ」「しも」は、特別な響きですね。
普段は「うえ」「した」で、「かみ」「しも」は何か特別な時に使おうかな。
あるいは、話し言葉と書き言葉ということで使い分けようかな♪
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by echalotelles | 2018-11-11 23:00 | 表現されたもの、本・映画など | Comments(12)

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